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更新日:2009年7月19日
篠原:まだ3期のグループ展も終わって間もない時期ですが、早くも小橋さんはコニカミノルタプラザでの個展を控えていますよね。グループ展の準備と並行して個展の準備もされていたと思うのですが大変じゃなかったですか? 小橋:自分ではグループ展が終わってから、本格的に取りかかろうと思っていました。でもプリント作業だけは早くから準備を進めていました。 篠原:個展は初めての経験じゃなかったですよね。 小橋:はい。2008年の1月に一度経験しています。今回が2回目の個展ということになります。 録音少女時代? 篠原:resistに来る前から、随分写真をやり続けているような印象がありますが・・・。 小橋:大学で写真のクラスがあって、それを履修したのが最初です。暗室があって誰も使っていない状態だったのですが、逆に使い放題という感じで・・・。 篠原:それがモノクロ写真との出会いというか・・・。 小橋:そうですね。 篠原:モノを作る作業の中で写真を選択した決め手は何ですか? 小橋:小学生の頃に、テープレコーダーを買ってもらって、それに空のテープをつめて、町の中で色んな音を録音して、家に持ち帰って自分の部屋でこっそり聴く、という変な遊びに夢中になっていたことがあるんです。 篠原:へえ(笑)。例えばどんな音を録っていたんですか? 小橋:ゲタの音とか、車が走っていく音とか、豆腐屋の笛の音とか、新宿の路地の雑踏の音とか。 篠原:そのテープって、まだ残っているんですか? 小橋:実家に置いてあるので探せば出てくると思います。 篠原:おお、ちょっと興味あるなぁ(笑) 小橋:それで、録音すると、自分が録ろうと思ってなかった音まで入っていたりするんですね。写真を撮るようになって、自分の身の回りに関心がある気がしたんです。写真て自分が気がついていないものも、写り込んでいたりするじゃないですか。それってテープレコーダーの遊びに似ているなぁって気がつきました。 篠原:確かに似ていますね。小橋さんの写真を拝見するとその興味のありようが分かる気がします。 小橋:暗い子だったんですね。(笑) 篠原:アトリエで自分のイメージを作り上げるよりも、とりあえず何かを探しに外に出るのが好きなんでしょうね。 鳥目と、どこへ帰る道 篠原:resistの写真集に掲載されている写真「鳥目」と次回の個展「どこへ帰る道」との内容の違いってありますか? 小橋:基本的なスタンスは変わらないと思いますが、「鳥目」は、いつもなら昼間しか撮影しないで、夕方になると疲れて止めてしまうのを、日が暮れても撮影してみようと思って歩き続けた写真だけでまとめたもので、それ以外は特に変わらないと思います。
篠原:この丸いのは、なんですか? 小橋:風船です。北区のどこか商店街を歩いていて、裏の方の路地で見つけました。 篠原:「鳥目」のシリーズは、時間軸がハッキリしていて、具体的にどこ、ということは分からないけれど、東京だろうということは分かります。 コニカの新作は、時間軸も、歩いているエリアもずっと自由な感じですね。この雪景色とかはどこ? 小橋:新潟の苗場です。友達でスノボに行くっていう人の車に便乗させてもらって、自分はスノボもしないで写真ばかり撮っていました。 これは、長崎の壱岐。
篠原:なんか、今の日本の風景に見えないね。写っている人の服装も今っぽくないしなぁ。普段東京で好んで撮影に出たり、つい何度か足が向いてしまう場所ってありますか? 小橋:文京区のほうとか、自分の暮らしている場所と山手線の真裏の方とかは、結構足が向いてしまいます。 篠原:全く撮れない場所ってありますか? 小橋:葛西とか、埋め立ての場所とか全然撮れないなぁ、と。風景がぺたーってしているのはどうも盛り上がらない。見通し良いとだめで。 篠原: 小橋さんにとっては生まれ育った大久保あたりの路地の感覚が一番反応するんじゃないでしょうか。 例えば、先程の風船の写真は小滝橋通り(※)の裏にある風景にも見えますよね。 そうやって見ていくと、テープレコーダーを持ってうろうろしていた頃から関心のベクトルは基本的に変わっていないように感じます。(※新宿区にある道路) 選ぶ作業、並べる作業 篠原:割とモノクロスナップの印象が強いですけど、モノクロの作業が多いのですか。 小橋:時と場合によってはカラーを試してみたいという気持ちもあるのですが、今はまだ修行みたいな気分で。今やっていることも自分でよく分かっていないので、とりあえずモノクロで始めたから今は同じやり方で続けていくしかないって思ってモノクロでやっています。 篠原: モノクロをやっている人って撮影だけでなく、ネガ作りもプリント作業も自分の手で行なう人が多いですよね。その中でも撮影に重点を置く人もいれば、暗室作業がとにかく好きでモノクロをやっている人もいると思うけど、小橋さんはその辺の重心の掛け方でどうでしょう? 小橋:どちらかといえば、私は写真を撮っている方が好きです。 篠原:事情が許されるのならば、暗室作業は誰かにやってもらいたい、と。 小橋:プリントしていると気分が重くなります。暗室は好きなんですけど。 篠原:沢山撮って選ぶのはどうするんですか。 小橋:現像の終わったネガを、スキャナーで取り込んで、パソコンのプレビューを使って、全部目を通します。そこで一度選んで、キャビネくらいの小さなプリントを焼いて、また見直して、更に絞り込んで、どれを大四切にプリントするか決めていきます。 篠原:ベタはとらないんですね。何か今風な感じですね(笑) 小橋:露出の違うカットが並んでいるので、ベタだと全部同じ調子で見ることが出来ないから、パソコンを使っているんです。 篠原:選ぶポイントというか、自分なりに決めている方針みたいなものはありますか?スナップ写真は写真の選ぶ作業ひとつで、伝わってくるものががらりと変わってくると思うので聞きたいのですが。 小橋:明らかに何かを大きく撮っていたりするのは、意識的に外すようにしています。例えば良く目立つ看板とか、おじいちゃんの顔のアップとか、ぱっと見えてくるものは、外してしまいます。あと、夜の写真も、明らかに夜ということが強調されてしまうので外します。 篠原:それって、すごく写真特有の経験だと思います。
「どこかへ行こう」って写真を撮りに行くときは、それなりの先入観を持って撮影に出かけると思うんですが、実際に行ってみると思っていたのとは違う場合もあるじゃないですか。それが写真のテーマに繋がって行ったりするんじゃないかなぁ、と思います。
小橋:そうですね。4枚にするというよりは、大きめのイメージでどーんと見せようと思いました。 篠原: 本はめくっていくから2枚であったり、1対であったり、選んで組み合わせる作業を意識的にやるけれど、展示は壁という面に写真を並べていくから、“2枚でひとつ”みたいな見え方はあまり意識されないですよね。 ブックにきちんと順序だてて並べたとしても、必ずしもその並び順が展示でも通用するとは限らないですし。グループ展や個展ではその辺の並べ方について、どうやって決めていったんですか? 小橋:修了展の時は、会場に実物を持ち込んでその場で自分でどんどん決めていくというやり方でした。 篠原:
コニカは会場が広いから大変だろうなぁ。
若手の写真展の中には、広い会場に作品の数を合わせているような展示も見かけますからね。会場が広すぎるので、思い切り削ると数が足りなくなってしまうと言うか、結果として大味となってしまう。それに対して、ある程度時間をかけている仕事の展示は、元々の物量が大量にあるから、少々展示数が多くてもビクともしない。並びはとてもデリケートな作業だと思いますよ。 小橋:沢山撮って一度自分の作ったものから離れて、ものを見直したいという気持ちはあります。 篠原:スナップではそういう作業も大切だと思いますよ。個展はなるべく早いうちに見に行きたいと思っています。 今日はどうもありがとうございました。
テキスト / 篠原俊之 |
![]() resist3期 1979年東京都生まれ新宿育ち 写真展『どこへ帰る道』が開催されました。
■会期 タイトル『鳥目』 この作品は写真集でもご覧になれます。 タイトル『どこへ帰る道』 しのぴープロフィール
篠原俊之(しのはらとしゆき)
Roonee 247 photography代表・フォトディレクター 1972年東京生まれ / 1994年大阪芸術大学写真学科卒業 1996年、赤坂にあった東京写真文化館を経て、 現在、写真ギャラリー「Roonee 247 photography」のオーナー 2006年よりresist事務局長。 |